甘い果汁をたっぷり含み、日本の秋を代表する果物のひとつとして人気のナシ。
原種は直径3㎝ほどの小さな野生の果樹「ヤマナシ」。何ともすっぱくて、とてもそのまま食べられなかったものを品種改良したのが、今の市場に出回っているナシです。江戸時代には、なんと100種類以上を栽培していたそうで、日本人のナシ好きが伺えますね。
ところでナシの特徴と言えば、ザラザラとした果実の触感。
あの独特のザラつきは、細胞壁が肥厚した石細胞という組織で、体内で消化されずに食物繊維と同じく、整腸作用や便秘予防などの機能を果たしてくれるんです。
また、普段の食生活では摂取しにくいカリウムも豊富に含まれ、皮には疲労回復効果の高いアスパラギン酸も含まれています。ちなみに、アスパラギン酸はカリウムやマグネシウム、カルシウムなどのミネラルと結合して、筋肉に必要なエネルギー代謝を促進してくれるんですよ。なるほど、スポーツ前に食べて燃焼を、スポーツ後に食べてスタミナ補給できるサプリメントフルーツ、というわけですね。
気になる甘味成分は果糖とショ糖、ブドウ糖。中でも甘みの強い果糖を多く含んでいるから、あっさりとして低カロリーなのに、しっかりとした甘さを感じることができるんですね。
果糖は低温にすると甘みが強くなるので、食べる前に冷蔵庫で冷やすのがおすすめ。逆に冷たくし過ぎると香りやほのかな酸味を感じにくくなるので要注意。食べる1~2時間前に冷蔵庫の野菜室など、温度の低すぎない場所に保管して。
収穫後はできるだけ早く食べるのがベターだけど、どうしても保存する必要がある場合は、ビニール袋などに包んで野菜室へ。冷風が直接当たらないようにして、乾燥から守ってあげれば1週間~10日間くらいは日持ちします。
ナシとイカのサラダ
シャキシャキとしたナシとセロリに、サッとゆでたイカを合わせるサラダ。
冷やした白ワインやすっきり系の日本酒にも良く合う、前菜感覚の1品です。
[材料(4人分)]
冷凍イカ 1ハイ分
ナシ 1/2~1個
玉ねぎ 1/2個
セロリ 1本
パセリ 適量
白ワイン 1/2カップ
水 300cc
塩 適宜
米酢 適宜
エクストラバージンオリーブオイル 適宜
※あればレモンの皮のすりおろしと果汁少し
[作り方]
① 冷凍イカを凍ったまま輪切りにする。
② 鍋に水と白ワイン、塩(小さじ1/2)を入れて火にかけ、沸騰したら①を入れてゆでる。
③ イカに火が通ったら取り出して冷まし、鍋に残ったゆで汁を1/3量まで煮詰め、ペーパータオルなどで濾し、冷ましておく。
④ ナシは皮をむかず4つ割りにして芯を取り、2mmくらいにスライスする。
⑤ 玉ねぎは薄切りにしてボウルに入れてひとつまみの塩を合わせ、しんなりさせておく。
⑥ セロリは筋を取り、薄切りにする。
⑦ 大きめのボウルに③のゆで汁と米酢、エクストラバージンオリーブオイル(あればレモンの皮と果汁)を合わせて混ぜ、冷ましたイカ、④⑤⑥を加えてあえる。
⑧ 器に盛り、刻んだパセリを散らす。