【旬の味覚/7月④ハレの日のごちそう、さば寿司】

夏こそ塩さば!!

かつて、輸送手段が発達していなかったころ、海のない京都で海の魚介は大変に貴重な食材でした。また、塩漬けや日干しにした塩乾物の魚介も貴重なごちそう素材のひとつでした。日本海から京都へ続く「鯖街道(さばかいどう)」をたどって持ち込まれた塩さばは、その代表格。

さば1

この塩さばの塩を抜いて酢じめして、寿司飯と合わせて棒寿司にしたものが「さば寿司」です。京都の家庭では、お祭りやお祝いの席でごちそうとして食していました。なるほど、貴重な海の魚に銀シャリの取り合わせは、ハレの日にふさわしい特別な1品ですね。魚の流通が容易になり、新鮮な魚介が全国各地から集まるようになった今でも、変わらずごちそうとして食され続けています。

 

ちなみに、 そもそも家庭のごちそうとして、家々でつくられていたさば寿司を料理屋の一品として売り出しはじめたのが、創業200年余の歴史を有する老舗、いづうさんです。

 

いづうさんのさば寿司に使うさばは、今は若狭だけでなく、季節ごとにいちばんおいしい産地のもの全国各地から仕入れ。年間を通して最高の味を供してくれているそうです。また、ごはんとシメさばがしっかりとくっつき、なおかつ食べやすいように、と肉厚のさばの身の中ほどに切り込みを入れているのも、いづうさんどくどくの作り方。

 

だからほら、こんなふうに断面がウサギの形になっているのが、いづうさんのスタイルなのです。


さば2

ところで、塩さばと言えば、生のさばとはひと味違う、濃厚な「うまみ」が特徴ですよね。このうまみは、塩をまぶしたサバのタンパク質が酵素分解されることで生成されるイノシン酸です。

イノシン酸と言えばかつお節のうまみと同じ成分で、DNAの原料なんだそうです。イノシン酸を多く含む食品を食べて、体内にイノシン酸が摂取されると細胞が活性化され、新陳代謝が促されるそうで、美肌や免疫力アップも期待できるとのこと。

 

ちなみに、さば寿司づくりに欠かせない昆布には、うまみ成分のグルタミン酸が多く含まれています。グルタミン酸と言えば、疲労回復効果も高く、アスリートサプリとしても注目されているアミノ酸のひとつ。

つまり、シメさばと昆布を重ねたさば寿司を食べる=グルタミン酸で疲れを取って、イノシン酸で細胞活性する!!の一石二鳥、というワケなんです♪

ふむふむなるほど。本来は脂の乗った秋が食べごろだけど、今まさにカラダがさば寿司を欲する季節!! 食卓のごちそうポジションをキープし続けているのは、こんな理由もあるのかも?ですね(笑)。

夏の疲れをためず、キレイをキープしながら暑さを乗り切るためにも、ぜひ“さば食”を!


シメさば
思っているより簡単に作れるシメさば。さばの三枚おろしができなければ、お魚屋さんやスーパーの鮮魚コーナーでさばいてもらえば手間が省けますよ。

さば3

[材料/4人分]

さば 1尾

塩 適宜

昆布 適宜

米酢 適宜

 

[作り方]

①さばは三枚におろして、バットに並べて塩を多めにまぶしかける。

②冷蔵庫で1時間以上置き、塩を浸透させる。

③米酢と昆布を合わせて1時間以上、置いておく。

④②のさばから出た水分をペーパーなどでよく拭き、③に漬ける。

⑤冷蔵庫に入れて30分ほど置いて、身の中心に残った小骨を抜き取り、皮を引いて剥く。

⑥塩の抜け加減と酢の染み込み具合をみて、ちょうど良ければ、適当な厚さにスライスして皿に盛る。

※これに棒状にまとめた酢飯を重ねてまとめ、形を整えてさば寿司に仕立てる。

※※さば寿司は半日以上置いて、味が馴染んだころが食べ頃。

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