【雑学⑫/昔の人はお酒が強かった?】

例年、秋口10・11月頃から春先2・3月頃まで、各地の酒蔵では盛んに日本酒が仕込まれ、続々と世間に出回ります。
京都では、伏見に数多く集まる酒蔵の皆さんも大忙しの時期ですね。


さて、お酒と言えば、昔話ではよく、お酒を呑む描写が見られます。
昔は娯楽が少なかったので、お酒は娯楽であり、現代と同様にコミュニケーションの場でもあったのでしょう。
例えば、貴族たちが夜毎に飲めや歌えやの大騒ぎの大宴会を行ったり、戦国武将が戦の前夜後夜に部下たちとお祝いをするなど。あるいは悪さをする妖怪にお酒を飲ませて酔ったところを退治、なんてものもありますね。

そんな昔の人々の話を聞いていると、ものすごくがぶ飲みしているような描写も度々見受けられるのですが、これは昔の人は現代人よりもお酒に強かったということでしょうか?

実はそうではなく、昔のお酒は基本的に「にごり酒」で、これは非常にアルコール度数の低いものでした。こうじと蒸した米と水でつくった醪(もろみ)を醸造して作ったお酒で、どろどろと白く濁っているため、にごり酒と呼ばれています。

一説によると、1600年ごろ、摂津国(今の大阪府北部と兵庫県の一部)の鴻池(こうのいけ)の酒造家、山中勝庵の酒蔵で、ある男がうっぷん晴らしのつもりで酒に灰をほうりこんだところ、澄んだ透明な酒になったとか。これが現在一般的に日本酒と呼ばれる「清酒」のはじまりとも言われています。これはご存知の通り、アルコール度数は決して低くはありません。

結局のところ、昔の人がお酒をたくさん飲めたのは、その時代のお酒がアルコール度数が低いものであり、たくさん飲んでも問題無かったため(たくさん飲まないと酔えないので気分も上がらない?)。決して特別お酒に強かったわけではないようです。

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